9月17~19日は口腔インプラント学会の総会が札幌で開催されました。今年はただの参加者ではなく、口腔インプラント学会専門医取得のためのケースプレゼンテーション試験の受験を兼ねての参加です。
実は北海道、まだ一度も縁がなく、以前からのあれしようこれしようという企画がいっぱいつまった5泊6日になりました。
今回の試験は専門医取得のための大きなハードルのひとつで、治療した症例をまとめてポスターにして、20分間の発表、質疑応答を受けて合否を判定されるものです。
例によって土壇場人生を歩んできた私はやはり直前にならないと着火しなくて、もう少し早くから準備していたらたいしたことないものを、自分でややこしくしてしまって、この年になっても反省する事しきり。それにしても北海道、こんなに近いとは思わなかった。秦野から空港まで1時間、羽田から千歳まで1時間半。これを知っていたらもっと早くから北海道を楽しんでいたのに、とこちらも反省する事しきり。
試験は私の人生の中で数限りなく受けてきたが、口頭による発表と質疑応答がついてくるとなると、何を聞かれるのか、正しくプレゼンできるか、とんちんかんな答えをしないかなど、何度もシミュレーションをして臨みました。
40過ぎてもあがり症。それでも二人の試験官交互の質問にも的確に対応できたのではないか。合否の程はまだわかりませんが、「もし今年これで落ちたとしたら、来年どこを修正してくればいいですか?」と逆質問をかけてみたところ、答えは「・・・。」この反応は受かったとみなしていいのかどうかも微妙。試験の順番が早く思いがけず時間が空いたので、他の先生方と反省会をしたあと、「このあとどう?どこで時間潰す?」との誘いを「まあちょっと・・・」とかわして一人で早速札幌市内に直行。大通り公園でその日から始まったオータムフェスタで地元の食材を使った祭りで大地の恵を食したあと、早速タクシーで向かった先は、大倉山シャンツェ ラージヒル90メートル級のジャンプ台。
スポーツの会場や舞台を見てそのすごさに驚くのは、多分ジャンプ台が一番ではないでしょうか。野球場やサッカー場を見てもそれだけではそんなに驚かない。このような競技をどうして思いついてこうして出来上がったのか不思議。リフトで登っていける出発点や、バッケンレコード145メートルの着地点に立ってみるとそのすごさは体感できる。斜面ではなくてむしろ垂直に近い。実際はたぶん上から選手が落ちてくる感覚でしょう。
そうか、ここがあの札幌オリンピックで日の丸飛行隊3人が表彰台を独占した舞台かぁ。かさや、こんの、あおじ、今でも覚えているからなぁと感慨にふけっていましたが、これは大きな勘違いで、それは隣の宮ノ森シャンツェ70メートル級だったみたい。
リフトで降りると先ほどのタクシーの運転手さんがメーター止めて待っていてくれたみたいなので、そのままの勢いでつぎへ。運転手さんからひとしきりおいしい食べ物やさん情報を聞きながら向かったのは北海道大学。
この北海道大学、なんと駅近、札幌駅から歩いて数分。しかも広大なキャンパス。緑にあふれ、小川まで流れている。ああ私の大学のなんという貧困。狭いし緑も少ないし、殺伐としているし、市民の憩いの場になっているなんて考えもつかない。同じ国立大学で同じ授業料なら、ぜったいに北海道大学の方がトク。雪が降ればどうなるかわからないが、もっと早くこれを知っていれば違った人生だったかも。散策でき一人になれて物思いにふける場所があるのは大学の大事な条件なんだと気づかされました。
まだ時間があったので、赤レンガの旧庁舎や、私の中では高知のはりまや橋と並んで日本3大がっかり名所に認定されてしまった時計台をカメラに収めて、試験会場に戻りました。
二日目三日目は学会の口演やセミナーにひたすら参加。今回の大会のテーマは「信頼性のある口腔インプラント専門医」ということで、すばらしい治療法であるインプラントがさらに安心安全な治療として普及する事を強く意識した大会になっていました。
久しぶりに再会した人、いつも顔を合わせる人、多く人に会いましたが、殆どの人は真摯にインプラントに取り組み、向上心がますます盛んで、私もいい勉強をさせてもらいました。気付きと学びはこれからの自分の臨床を支えてくれるものだと再認識しました。
このときの札幌は各学会の大会や、石川遼君が出場したゴルフの大会が重なり、私の最終日の宿泊は札幌市内が不可能となり、道央の旭川まで移動するはめになりました。
旭川といえば、やはり旭山動物園。せっかくだから行ってみました。この年になると動物の無邪気な表情を楽しむというより、”入場者数奇跡のV字回復の秘訣を探る””行動展示とは”など、つい経営者としての視点でみてしまうのですが、なかなか面白かった。
しかし人が多い。動物を見に来る人がさらに人を呼んで、人垣の中に動物が何かしているといった状況。ここまで混雑していると、ひなびた動物園でじーっとゴリラと見詰め合うようなゆったりとした時間が逆に懐かしい。”行動展示”もうちの子1歳がごはんを食べている姿のほうが次の行動が予測できずに刺激的だ。帰宅したあとの旭山の動物たちの写真を家族に見せたら、娘は是非連れてってみんなでいこう、妻は別に北海道の真ん中までいってこれはどうかな?と反応は別々。
札幌に戻ってからが今回の旅行のハイライト。
鉄道男子としてはせっかく北海道まできたらただでは帰りません。寝台特急「北斗星」。チケット発売当日すぐ完売。ようやく手に入れたチケットは、しかしB寝台特急4人部屋。2段ベッド×2のうちの、下の段。
個室はすぐ大手がおさえてしまうので、それでもまあいいか、と。だが現状は全く見ず知らずの親父4人。会話の糸口も見つけられそうにもない。年代も関心事もバラバラそうな4人が広くないコンパートメント(小部屋)に座らされる息苦しさ居心地の悪さ。隣のコンパートメントは家族5人でなにやらにぎやかで楽しそう。私も小学校1年生の時、母と兄との3人で寝台特急に乗った事が思い出されました。今まで見た事もなかった食堂車でごちそうを食べながら車窓をながめる。きっと興奮しまくっていたと思う。この強烈な原体験が元で今もこんな事しているのか、飛行機使えば1時間半なのにと自己分析。やっぱり家族が一緒なら楽しいか、なんて独り言を言いながらほーほーのてーで予約していた食堂車にかけこみました。昔の寝台車は確か3段ベッドだった記憶がある。それに比べればいくらかましか。この4人からなごやかな会話をひきだす力量、リーダーシップってどんなのか?
食堂車は満席を予想していたが、空席がいくらかあってもったいない。日本で食堂車のある列車はもう3本くらいしかないのに。 おいしかったし雰囲気も悪くなかったのにもっと多くの人に利用してもらっていないとこれも閉鎖されてしまうことになるとホントにもったいない。
一度は乗ってみたかった「北斗星」わたしにとって寝てしまえばファーストクラスもエコノミーも一緒。ただ設備の老朽化や内装のへたり感は隠し切れない。それにともなって騒音も振動も高いレベルで安定しているから、私は楽しめたけど、おいそれとは誰にでもは薦められない。カシオペアのほうへどうぞ、という事でしょう。
この時期の旭川は21℃ 上野着の夜行列車降りたときには32℃、その2日後の神奈川はまた23℃。時差ぼけならぬ温度差ボケでふわふわした感じがしばらくとれなかった。
すしにジンギスカンにラーメンに海鮮にスープカレーにと、おいしい場所を見つけてきました。
家族からは 何しに行ったかわからないともっともなお言葉。今度は家族全員での修学旅行を企画中。
5泊6日も医院をあけていたけれど、それなりに医院はちゃんとしていたのはスタッフにも感謝。スタッフにはおみやげのルタオのドゥーブルフロマージュ、プレーンとチョコで穴埋めできたでしょうか。