最近大きな総合病院の待合室において、わきたサマ、わきたともふみサマ~と、患者名にサマをつけるところが目立ってきました。

自分の名前をサマづけで呼ばれたときに、昔まだ歯科医になりたてのころに参加していた学術講習会のことを思い出しました。そこの講師が「患者なんて呼び捨てにするな、患者サマとお呼びしなさい、患者サマと。患者サマには臨床を通して勉強させていただいているうえに、我々の生活を保障していただいているのだ、世の中これほどありがたい存在があるか、患者サマとお呼びしなさい。」と顔を赤くして力説していたことをつい思い出しました。

確かに、患者サマの存在がなければ医院は成り立たないことは明白な事実であり、特に歯科医師・歯科医院過剰時代といわれる昨今、特にこの部分は強調されやすいのも事実です。それでも私自身、自分の名前にサマをつけて呼ばれた記憶があまりなかったためか、妙に気恥ずかしさをおぼえてしまいました。
たとえサマをつけても、心がこもっていなければ接客業のマニュアルの上辺だけをすくいとったような気がして、どうもなじまないなあ。というのが率直な感想です。結局私の医院では、患者、でもなく、患者サマ、でもなく、患者さんが一番自然な呼び方ではないかと思っています。